『カレッジ〜』『時をかける少女』、そしてこれからのことを。 [『カレッジ・オブ・ザ・ウインド』2015]
『カレッジ・オブ・ザ・ウィンド』のツアーが終わりました。ご来場くださったみなさま、本当にありがとうございました。
僕が劇場で感じたのは、「2000年以降入団組」の畑中・渡邊・多田・筒井たちの熱気と実力の進化スピードの凄さに尽きます。
終演後のロビーで、1990年初頭から観に来てくださっているお客さんから「これからがキャラメルボックスの本当の黄金時代なんじゃないですか?」と真っ赤になった目で『カレッジ〜』のキャストひとりひとりについて熱く語られたことが印象的でした。
それでは、写真家・伊東和則さんの写真でちょっとお楽しみくださいっ。
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さて。次回公演は、筒井康隆さんの原作の、あの『時をかける少女』を舞台化。
入団3年目の木村玲衣を主演に抜擢する、という、これまた1990年代を彷彿とさせるような野心的なキャスティングでありつつ、脇は西川浩幸・坂口理恵・岡田さつき・前田綾・大内厚雄という押しも押されもせぬ主演級が固めて木村を援護。その上に劇団OBの近江谷太朗までが参戦する、という盤石過ぎる体制でお届けします。
昨年の『涙を数える』で客演していただき劇団内でも好感度が百倍増だったしなやかで輝きが2階席最後列まで届くチャーミングな俳優・池岡亮介くんとまた遊べるのも楽しみです。
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さてさて。
キャラメルボックス・サポーターズ・クラブのみなさんには、まもなく秋の公演をご案内する「ハテナ気象台」が届きます。今日、この時点で発表していないことがいくつも載っておりますので、是非お楽しみにっ!!

そしてそのハテナ気象台が入った封筒に、5月中旬の「CSC MAIL」でお届けした内容を若干修正したお手紙と、「トライアスロンパス2016」と「キャラメルボックス・オーナーズ・クラブ」のご案内を同封してあります。
このブログに書いてしまえばよいのかもしれませんが、やはりこれまでずっとお世話になってきているサポーターズ・クラブのみなさん全員にまずお知らせしておきたいと考えて、ネット上にはまだ書いていないことをお手紙にしました。
遠いようで近い未来に、劇団とお客さんが一緒に歳を重ねていって、客席が同窓会みたいになっていって、代表が死んじゃったからはい解散、さようなら、みたいな結末って、キャラメルボックスという劇団にとっては最もあってはならないことだ、と思っています。「バンド」は基本的にそういうものだと思いますが、オーケストラはそうじゃない、というのに似ているかもしれません。
音楽は、「録音」によってその名曲や名演奏が残りますが、演劇は「風に書いた文字」のようなもので、生でお見せし続けることでしか存在しない表現形態です。つまり、なくなってしまったら単純になくなってしまうのです。脚本は残っても、その舞台を作るために必要な「魂」や「熱」は継いでいく努力をしなければ繋がらないと思います。
『クロノス・ジョウンターの伝説』2本立て、『カレッジ・オブ・ザ・ウィンド』、とやってきた30周年記念公演では、キャラメルボックスのそんな「魂と熱」がきちんと、いやそれ以上に増幅されて受け継がれていることが実証されたのではないかと自負しておりますがいかがでしょうか。
今週末から届き始める「ハテナ気象台」。「7日程度送達余裕承諾割引」を利用してお送りしているため、地域や局によって届く日にタイムラグがあります。ご了承ください。

■6月26日(金)から「セカンドチャンス(二次募集)」が始まりますっ!!
「トライアスロンパス2016」についてはこちら
30回目の劇団結成記念日のご挨拶 [製作総指揮としてのお知らせ。]
本日・6月30日(火)に、演劇集団キャラメルボックスは結成から30年目を迎えることができました。
ありがとうございます。
結成しよう、と成井豊に持ちかけたのが、学生劇団の2つ後輩の僕ともう一人の後輩で、当時はその学生劇団で僕より上のメンバーが成井の2つ先輩の鈴木聡さんが結成した「サラリーマン新劇喇叭屋(現・ラッパ屋)」に参加して盛り上がっていた頃でした。
僕は、実は鈴木さんの中学・高校時代の放送部の後輩でもあり、ラッパ屋に行くのが当然、という空気もありました。実際、旗揚げから数本は音響のオペレーションもしておりました。でも、大学に入って2本目に観た舞台が成井豊の『キャラメルばらーど』という、その後『不思議なクリスマスのつくりかた』と名前を変えてキャラメルボックスでも上演した作品で、それを観たとき「この作品を100万人に見せたい」という強い思いが沸き上がったために演劇を始めたわけで、僕は成井も学生劇団だけで終わらせてはいけない、と、高校の教員をしていた成井に劇団結成を持ちかけ、説得し、実現したのでした。
結成して小劇場でスタートしてから5年で中劇場に進出を果たした1990年代は、1989年に入団して94年にNHKドラマ『大地の子』の主演に抜擢された上川隆也の人気が大爆発して劇場は大騒ぎになり、2000年頃に迎えたピーク時にはもうオーバーヒートを起こした時期もありました。
しかしちょうどその頃から成井は劇団外でも俳優の育成の仕事を始め、そこを経由して入団してきたのが今のキャラメルボックスの中心メンバーである畑中智行でした。それまでは演劇経験が無い人でも入ってもらってから育てて、というようなことをしていたのですが、畑中の入団の頃からはある程度外部で舞台を経験済みの人たちが入団してきてくれるようになり、今の力強い舞台を支えられる原動力となってきました。
初期15年のキャラメルボックスが、成井・加藤・真柴・大森・西川、という同じ学生劇団出身のメンバーによる同好会の延長で勢いで押し切るような火の玉集団だったところから、90年代の嵐を越えてプロフェッショナルな集団になってきたのが後半15年だったのではないか、と思っています。
今でももちろん真柴・大森・西川・石川・坂口たち初期メンバーは最前線で活躍していますが、そこにオーディションを通過してどんどん加わってきた役者達が彩りを加えて、世代交代ならぬ「世代交錯」が起きて熟成してきたのが、この演劇集団キャラメルボックスの今です。
21才から54才までの劇団員が一緒に体を動かし、「家族」のシーンでも実年齢に近い状態でリアルな関係を描くことができるようになった今。劇団員ひとりひとりが劇団内だけではなく外にもちゃんと自分のフィールドを作り、未来に向けてのベクトルを持ちながら劇団活動に参加する、という、理想的な状況になっていると思います。
そしてまた、学生劇団時代の先輩が社長を務めているワタナベエンターテインメントの「俳優集団D-BOYS」とも連携を強めることができてきていて、お互いのやりたいことを補完し合える関係を築くことができているのもまた、これまでにはない「外にも開いた劇団」になってきた証拠だと思っています。
今、キャラメルボックスは2011年以降の急激な社会の変化に翻弄されてその活動は窮地に立たされています。しかし、劇作の現場は逆にエネルギーに満ち溢れ、未来への希望が渦巻いています。次回公演『時をかける少女』では、まだ入団3年目の女優・木村玲衣が主役に抜擢され、ベテラン勢に囲まれて新たな時代に向けての扉を開けようとしています。
ネットが全盛で、家にいるだけで楽しいことがたくさんあるこの時代。おうちにいらっしゃる方にもしっかり楽しんでいただきながら、やはりキャラメルボックスは、愚直に生の舞台、熱気溢れる劇場にいつもいる劇団であり続けます。
これからの新しい時代も、みなさまの応援と劇場へのご来場なくしては有り得ません。ぜひまた、劇場でお会いしましょう。お待ちしております。
■次回公演『時をかける少女』詳細
■2016年のキャラメルボックス公演年間観劇チケット「トライアスロンパス」
■31年目のキャラメルボックスを支え、ともに闘う個人スポンサー「キャラメルボックス・オーナーズ・クラブ」募集